沖永良部芭蕉布協議会

沖永良部の芭蕉布

Okinoerabu Banana Fabric

着物と帯着物と帯

芭蕉布といえば、まず思い浮かぶ、着物や帯。他のどんな織物とも違う、素朴であたたかみのある雰囲気と、独特の肌触りが人々の心をとらえてやみません。
袖を通した人は口々に「どの着物よりも軽くて動きやすい」と言い、芭蕉布の虜になってしまいます。

手がけたのは、沖永良部芭蕉布の代表作家である長谷川千代子さん。どの工程も決して手を抜かず、繊細な植物繊維を丁寧に扱い、心を込めて織っていきます。1日に織れるのはわずか15cmほど。一反を織るのに1年から1年半ほどかかります。だからこそ、この着物は千代子さんにとっても、とても大事なもの。どなたかの手に渡ってからも「大事に使ってくれているかな」といつも気にかけています。ときにはご購入いただいた方からお手紙が届き、長く交流が続いたり、すでにお召しになっているお母様が「娘のために」と仕立てたりすることも。
“買って終わり”の関係ではない、芭蕉布を通じた心あたたまるやりとり。それもまた、大量生産のできない、たった一着の着物を手にすることの良さなのかもしれません。

着物のテーマは「縄文の流れ」。同じ鹿児島の屋久島が世界遺産に指定されたことにちなみ、奄美群島の自然をテーマに表現しました。雨が降り、空から大地に水が滴るように。淡くやさしく表現された雨の色が印象的です。

帯の美しいブルーは泥藍の色。藍は生き物なので水飴を入れて常に発酵させておきます。その工程は大変に手間のかかるもの。それゆえに、手仕事による繊細な色を出すことができます。

最初から最後まで自然とともにできあがる芭蕉布の味わいを、ぜひお召しになって実感してください。